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| 平成19年度 福祉健康委員会視察報告書 |
| 平成19年9月17日 江戸川区議会議員 上田令子 |
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1.期間
平成19年8月29日(水)〜8月31日(金)
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2.視察日程
(1) 8月29日
広島県広島市
◆幼保一元化の取り組みについて
市役所説明後 社会福祉法人広島光明学園 認定こども園 現地視察
◆平和記念資料館現地視察
(2) 8月30日
広島県広島市
◆健康づくりセンター 健康科学館視察
岡山県岡山市
◆福祉総合システムについて
市役所にて説明を聞く
◆向こう三軒両隣子育て応援事業
◆岡山ふれあいセンター視察
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3.考察
社会福祉法人広島光明学園は昭和8年に保育園を創立した歴史ある社会福祉法人である。昭和51年に特別養護老人ホームを創立、現在広島市内で鉄筋9階(一部10階)建複合舎にて保育園(1〜7F)、特別養護老人ホームを運営している。平成19年4月から開始した広島市の「認定こども園」事業4園のうちのひとつとして「認定こども園」として運営を始めたばかりである。「認定こども園」には幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型とあるが光明学園は保育所型に属する。
保育園の定員はなんと370名(乳児135名・幼児235名)、さらに幼稚園児として3歳児以上の子を50名預かっている。これまでいくつもの保育園を見る機会に恵まれた上田も館内放送でこどもたちにバスの時間などを知らせたり、なによりエレベーターで行き来し、400名以上のこどもがひしめく保育現場に圧倒された。
こども園になってのメリット
・広島だけではく全国的に幼稚園は定員割れ、保育園は待機児童が膨らむ傾向がある中で認定こども園を開設することにより幼稚園の有効活用により待機児童解消に効果をあげた。待機児童数:'06年待機児童116名→、07年47名。
・幼稚園児も保育園児も変わりなく同じ場所で保育を受けることができる。こどもによっては自分が幼稚園児か保育園児か区別がつかないこどももいる。
・保護者の就労形態に変更があった場合、幼稚園→保育園、保育園→幼稚園など弾力的な選択肢がとれる。(上田注:幼稚園と保育園では申込手続ならびに保育料が違うことから双方空きがあった場合に移行実現は可能。世田谷のこども園では幼稚園定員がいっぱいなので移行は現実的には厳しいという話を聞いた)保護者の環境が変わるだけでもこどもにとってはある一定のストレスがある中保育環境が変わらないということは大きな安心材料でありこども、保護者にとってもどれほど救いになるかと思った。
・保護者と直接契約のため入園時に家庭の状況など園側が直接把握しやすい。
・保育料は直接徴収となったが未納は今のところない
こども園になってのデメリット
・370名分の保育料の徴収、算定業務の費用が発生し新たな経費がかかって運営をひっ迫している。
・広島では保育園の草分けでもある歴史ある光明学園は私立保育園協会創設に携わったにも関わらず、こども園となってからは一線を引かれてしまった。全国私立保育園協会においてもあまり歓迎的な雰囲気がない。保育園事業者の中にはこども園事業に賛同しないところも多く問題意識を感じる。
上田が見た問題点
・人数が多いのでどうやって子ども達の既往症などの対応をしているのか気にかかった。アトピー食は個別にプレートを分け名札を付けるなど配慮しているが、本来は鍵のかかった書棚に厳重に管理してある児童表が保育室内に無造作においてあり気になった。7階建てともなればいちいち移動するわけにもいかないのは理解できるが、児童とその家族のかなり踏み込んだプライバシーが描かれている書類である。各室で厳重管理するための方法論の工夫が求められる。
・事務費の問題や旧来の保育事業者、幼稚園事業者がこの事業を相容れないことなど開始してくると見えてくる問題がある。各都道府県で情報を共有してその都度最善の方法を取ってもらいたい。
・保育園は児童福祉法に基づき管轄は厚生労働省であり、幼稚園は学校教育法に基づき文部科学省である。縦割り行政で現場の運営にしわ寄せがいかないよう地方自治体と国の良い連携を望む。
・直接契約なのでたとえば特別な支援が必要な子どもや障害をもった子どもなど断られないか気になった。人数の割に障害児の割合が少なく感じた。(4人)
上田が見た良かった点
・特別養護老人ホームのお年寄りたちと日常的に交流を図っている。訪れた時は葉っぱで誠にリアルなバッタを作っていた。「0歳から120歳まで」をテーマにしているこの法人はなんと、老人ホーム84歳の「卒園生」がいるという。卒園生の高齢者と現役の園児たちが一緒に生活をする場は今日的なこども園でありながら昔ながらの地域の子育ての場を再現しているように思えた。
・大きなゴールデンレトリバーを飼っており、玄関で来訪者を出迎える。お年寄りと子どもたちのアイドルなようで犬一匹がたくさんの癒しを提供していた。
・犬がいたり、寝巻に着替えないで昼寝をする等ことに首都圏では厳しいようなことも広島という土地柄や県民性かよろずおおらかなところがかえって目新しかった。どうしても都心部ではルール優先になってしまい大切なことを見落としがちなので。安全対策だけは十分に取っておおらかな保育はつづけてもらいたいと考えた。
・世界で初めて原子爆弾を落とされた都市ということから保育園においても原爆の教育がきめ細やかに行われている。「ピカドンたけやぶ合唱祭」にて平和劇や平和太鼓などの行事を通して自然に学ぶ配慮がある。また園舎には核時計、環境時計なども配され平和教育に余念がない。これも都心部では平和を標榜すると誤解をされることも多いことからうらやましく思った。
念願の記念館を初めて視察することができた。凄惨な事実に言葉を失った。館内には時系列に「その日」を迎えるまでの戦局政局の掲示物が展示されており、何度も引き返す機会があったことを改めて思い知った。ことにポツダム宣言(1945年7月26日)を受諾していれば広島に原爆は落とされなかったであろうし長崎に続くこともなかったであろうと思うと、時の執政者が選択を誤るとこのような悲惨なことになる歴史的な実証である。なによりも何の罪もない何もしらなかった市民の尊い命が一瞬にして奪われたことは許されてはならないし繰り返されてはならないと痛切に感じた。なぜここまで来てしまったのか、原爆を投下したアメリカのみならず当時の日本の国家運営、官僚主義の行き着いた先を歴史に学び再発防止策を講じるための政治の責任は大きい。地方議員としてできることはなにかを真摯に考える大きな機会となった。
子どもたちが被曝時に身につけていた衣服や持ち物の多くは親が爆心地にいたはずのわが子を探して見つけたものだったことが痛ましかった。爆心地付近の状況は混乱の極みであったろうに、本来親の愛情がこのような形で現れる必要は全くないわけで、それが戦争のおそろしさである。
視察施設は財団法人 広島原爆障害対策協議会建物内にあった。この協議会は原爆被爆者の医療を組織的に推進するために、昭和28年1月、広島県・広島市をはじめ、県・市医師会、大学医学部、官公立病院等が一体となって設立した団体である。被爆者医療からスタートしたというところに広島らしい特徴がある。医師会も施設内にあり、検診センターなども行う複合施設であった。その中の、子どもから大人まで健康に取り組むための啓発を促す施設というかコーナーとしての位置づけが健康科学館であった。人の体の中を探検するような趣向となっており各器官の解説がされていたが、文字が多く子どもには少し難しく思えた。ひとつひとつは手をかけて作ってあるのだろうが総合的に心に残るものがなく、江戸川視察団以外の参観者は1組しかいなかったので果たしてこの施設が必要なのか、採算は合っているのかということが胸によぎった。また、職員が10名前後いる事務室が同じフロアあったのでこの健康館の管理のためにこれほどの人件費を投入するのか?!と心配になったが市のファミリー・サポートセンターの事務局が併設されているとのことでほっとした。ちなみに広島市においてもファミサポ事業は提供会員の方が少ない、地域での登録数の差があるなどの問題点があり、江戸川区と同じだと感じた。こども園視察でも感じたが広島市も年々働く母親が増え、ファミサポのニーズがあがったことから昨年から開設したという。上田個人としては健康科学館よりもこの事務局の話がとても参考になった。ただ、広島市医師会が刊行している「スポーツ障害について」の小冊子は中学生の息子の居る母親としてとても参考になるもので江戸川区でもぜひ作ってもらいたいと持ち帰った。
市民や区民が役所に用事がある場合福祉関係の手続きなどが住民票・戸籍の発行に次いで多いのではないだろうか。行政サービス=福祉サービスといっては過言ではない中で、住民情報をどう各事業で共有し事務処理につなげてか企業でいえば顧客管理データベースをどうするかというのは各自治体の大きな課題であろうことは薄々気になっていた。そうした試みに果敢にチャレンジした一人の行政担当者(中央福祉事務所所長代理谷口氏)の汗と涙の物語は大変に面白く興味深いものであった。普通の人であればピンとこないとは思うがIT業界にいた上田にはその悲喜こもごもの日々が手に取るようにわかるし、その成果が奇跡に近いものであったことも理解することができたのである。
岡山市における福祉総合システムとは「住民に手間をとらせない、誤りをなくす」ことをめざし障害福祉、高齢者福祉、福祉医療、ひとり親・児童福祉、児童手当、母子寡婦福祉資金貸付、生活保護の7事業を一元化したシステムである。当初の市長は受注業者との癒着を勘案し厳密なる「プロポーザル方式」を敢行、これまで契約していた大型汎用気システム業者とは違うところへ落札することとなった。一見とても正しい。しかしここから担当者の苦闘が始まったのであった。なぜなら、同業他社に後継者が決まった場合はデータの移行や各種変換作業、その他事務運営の引き継などまったくと言っていいほど継承してくれないからである。こうしたバックグランドにはお構いなく行政の仕事は待ったなしであるから平成17年から開発が始まったのであった。前社と後継社との間を右往左往しなんとか電子作業によるデータ移行を模索するもある時点で、担当者は「手入力にした方が早いしコストがかからない!」と批判を浴びながら大英断を下されたのである。これも、容易なようでなかなかできないことである。デジタル社会に慣れてしまうとアナログナ作業を見下してしまうが、特殊な状況においては昔ながらの手作業の方が効率的だったりするのである。しかし周囲の反対が想定できる中で実行できるかどうかは担当者の覚悟と手腕次第である。そして岡山市の担当者はやりきったのである。さらにその入力業務は派遣委託をして集中的に廉価で完成した。これもミスがなくスピーディに安くできる王道である。また、新システムの操作画面などの要望なども十人十色なので、大枠を決めた後は耳を貸さずカスタマイズは可能な限り避けて有りもののシステムに乗っかり稼働する道を選ばれた。これもできそうでできないことなのである。
と、ここまではハードウェアの話。このような作業を滞りなく実施する重要なカギは「人材」というソフトウェアである。岡山市の担当者が並々ならぬ能力の持ち主だとて、相手の業者も相応の人材でなければ結実しないし、またそれぞれの部下スタッフも然り。そこで人材確保をどうしたかと尋ねたこところ「業者には、有能な社員をつけてもらうよう懇願し、本社から一人、広島から一人、SEを派遣」してもらったという。一方岡山市側のスタッフはというと、各部署部長に理解をしてもらい担当者一つの頭脳で判断し一本釣りした4人の本庁職員にて「福祉システムプロジェクトチーム」を作り2年にわたる開発〜導入までを手掛けたのである。
コスト管理においても「初期投資→開発」「保守5年分」を念頭に入れて業者に常に確認を取っていったという。
しめて2,7憶。70万都市においては破格の金額である。操作画面を見たところシンプルで使いよさそうであった。これはまれな成功例であろうがその成功のコツを上田はこう分析した。
システム導入成功のポイント
・担当者が優秀
・担当者が選んだこれぞという人材を庁内で選定した
・業者の言うなりにならずイニシアティブをとった(担当SEのクオリティへの要求)
・アナログ作業でいいところは電子化にたよらない大局的な仕事の進め方。技術に精通していなくても仕事の進め方がわかる人間であればこういうプロジェクトは成功するという良い例。
・入力作業を外注するなど外注した方がいい作業が判断できた上に実行できた点
システム導入で見えた問題点
・過去の業者と新業者の連携が図れず不要なコストが発生したことからも安さだけで判断するプロポーザル方式が正しいとは限らない。複合的な視野が必要だ。
視察の問題点
・システムの視察なのに、PCを実際に使った説明がなく、これでは何が何だかわからない。上田が個人的に無理をお願いし営業中の役所で見せてもらったが、職員や市民に迷惑をかけてしまうし、ダミーでもいいからシステムの視察の時はプレゼン用PCを利用すべきである。
岡山市では年間6,800人の子どもが生まれてくるということで江戸川区同様、福祉という形以外の地域子育て支援が必要とされているようだ。都内有数の犯罪件数を誇る?江戸川区でもすでに取り組みを強化している地域見守り事業も視野に含め他子育てプランの一環。対象は「子ども達への声かけ・あいさつ・見回り、子育て中の保護者へのアドバイス、自宅などでの子育てサロン開設等」、平成16〜21年までの時限事業とのことである。
最初は自治体が音頭を取って各団体を育て、地域や市民に根付くようにしてから後は市民に任せていこうという姿勢か。参加するメリットとしては優秀な取り組みには3万円の奨励金が出て、市のHPで紹介してもらえるとのことであるがエントリー数は逓減とのことである。なかなか市民中心の地域活動が育たないのは岡山市でも一緒なのだな…と感じた。活動の趣旨もすばらしいし大いに賛同するが、いつも同じ人ががんばってしまうわけであり、子育て支援への温度差をどう解消するのか新しい知恵を出していきたいところだと考えた。幸い時限事業であるということもダラダラ続くことなく仕切り直しができるというのは良いと感じた。この種の取組みについては江戸川区もボランティア団体登録など活発であり健闘しているなと感じた、ただし新住民をもっと取り込んでいきたいと考えた。
まさに福祉サービスのレジャーランドといいった大規模施設であった。普通は作りました…だけで終わってしまう感のあるこうした施設だが、平日というのに利用者がたくさんいて、その様子を見るにつけ日常的に利用し地域にとけこんでいるという印象である。年間31.4万人、一日ほぼ900人平均が利用するというのは見てみないとわからないものである。障害者の通所施設、児童館、陶芸・工作・茶道・調理など各種趣味に応じた施設、大ホール・小ホール、会議室、各種セミナー開催などなど、ハコモノも中身も充実しておりセンターの目的である「子どもからお年寄り、障害者の方たちすべての市民の方が気軽に参加し楽しん」でいた。高齢者や障害者が同じ施設で自由に行き来することが偏見や差別の壁をなくすと感じた。自然にそれぞれが同じ場所にいることの当り前さが実は稀有でる現代を思った。
デイサービスの浴室の横には一般浴室(銭湯)があるのもまた交流が温まる仕掛けであろう。お風呂上がりラウンジでくつろぐ老若男女の自然な姿が近代的多世代交流と見受けた。この規模のセンターが市内54か所あり予算は25憶。岡山ふれあい公社が事業運営しているが理事長は市長であり、市からの派遣は16名、総勢820名もの職員がいる。江戸川でいえば環境促進事業団のようなものか。岡山市においては理事がすべて本庁職員ではなくNPOや学識経験者が入っているところ、市の職員が20%未満なところは健全である。
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4.総括
ひとくちに幼保一元施設、子育て支援、福祉といってもところ変われば事業も変わるということを目の当たりにした。国が決めたことに対しての微妙な解釈の違いや地域性に合わせた事業展開などが参考になった。なんでも横並びにするのがいいわけではないと感じたが、他自治体の良いものは吸収していくべきとも考えた。障害児の取り組みについては、受け入れ態勢は整っているものの東京都の方が積極的に発見し早め早めに適正な保育を施していくべきという姿勢が強いと感じた。悪意はなくまだ意識が育ってないのかもしれないし、なにしろ東京よりおおらかなので神経質にならなくても自然に周りが受け入れるのかという気もしないでもなかった。もしかしたら後者の方法論も道理にかなっているのかもしれない。ひとつの命題を与えられた。
現在全国的に議員視察について取りざたされている中、初めて参加した。正直通り一遍なものしか見られないであろうと思わないでもなかったがやはりきちんと行政間が連絡連携を図って行うことであり、そこは通常では見ることのできない情報の宝庫であった。そして各自治体の経験値を議員団が見ることで地元に還元ができると確信した。行ってみないとわからないものである。たとえば、広島の子ども園の施設長の現状運営や保育協会から偏見を持たれている事実、本音、岡山市のシステム担当者の苦闘などは会って聞いてみないと引き出せない現場のナマの情報である。そしてこれは私が一市民であったら出会えなかったものである。議員はこうした権限をこそ生かして区民のための血肉とすれば区民に何も恥じることはないと思った。井の中の蛙大海を知らずというから、せっかくの機会を大いに活用して見聞を広めていきたい。今後は視察の状況などVTRに収め公表するか区民の代表も同行して様子を見てもらいたいものである。
多忙な中、誠意をもって対応していただいた広島市、岡山市職員の皆様にも改めて御礼申し上げます。
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以上 |