お姐都庁へ行く!2〜東京都第三者評価関連団体等連絡会の会合に参加してきました〜

(出席者:お姐、ぢらふ)


reported by ぢらふ

第三者評価関連団体等連絡会とは?
 2001年8月8日(水)東京都庁で行われた、第三者評価関連団体等連絡会の会合に参加しました。
この会合は都が今後、社会福祉事業に関する第三者評価を推進していくにあたり、まずは情報収集および団体相互の交流・情報交換の支援を目的に、社会福祉分野で評価を実施・企画している団体をとにかく一同に集めたというもの。江戸川WMも、保育の質向上の為には客観的な評価や情報公開は欠かせない!と考え、また随所で主張してきたものですから、お招きをうけることになったのでした。
 さて集まった24団体は、主催者である福祉課が「評価というキーワードだけで集めた」というだけあって、団体の性格もやっていることも実にさまざま。自治体、市民団体(NPO)、社会福祉法人…中でも今日的だなと感じたのが、CS(customer satisfaction)調査やコンサルタントを業務とする企業の方たち。好むと好まざるに関わらず、福祉分野の民営化・民活(古いかこの言い方は?)・市場化はもはや趨勢なのですね。対象とする福祉領域も、高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉とさまざまなのですが、一番多いのはやっぱり介護保険導入で急激に市場化が進む高齢者福祉関係。それぞれの領域によって、対象者やらサービスの目的やらが異なるから、まるっきり応用はできませんが、一歩先行く高齢者福祉領域から学ぶこともやっぱりありそうです。
 集めた側の福祉課によると、今後の福祉のめざす方向を示すキーワードは「地域・選択・競争」。つまり、中央集権的で行政丸がかえの福祉はもうやめますということ。地域の資源を利用し、地域の特性にあった福祉をめざす。「措置」から「利用」へと考え方を変え、利用者の選択と共有側の競争を促し、そのことで全体的な質の向上を図っていく、というシナリオです。そして、行政の役割としては、自由な選択と公正な競争を保障するために、十分な数の確保と、第三者による評価・苦情処理システムの整備に関して積極的な支援を行っていくとのことでした。

 第三者評価の論点
 評価にかかわって特に問題となるのが、誰が評価するのか(評価主体の問題)、どうやって評価するのか(評価方法とその正当性の問題)という点。 (1)評価主体としては、利用者、利用者家族などサービスを受ける側の主観による評価、サービス供給側の自己評価、評価団体が作成した指標に基づく客観的評価、(2)評価方法についても、質問紙調査、聞き取り調査、訪問調査など、それぞれの団体がいろいろ試行錯誤しているようです。それぞれのメリット・デメリットも提示されるとともに、「主観というのは、個人的な感情などいろいろな要素に左右されやすい」「主観的なものを集約して、客観的な基準を作り出すことが必要」「施設の改善に結びつくような、その一環としての評価を」などさまざまな意見が出ていました。
 評価の正当性問題に関しては、行政は評価の主体とはならないし評価団体の許認可なんてことも今更やらないが(^^;)、自分たちの評価基準を一応提示するとともに、評価団体への認証(お墨付き)を与えることくらいは考えているみたいです。

 保育と第三者評価
 さて、保育領域からの報告は、品川区と「保育園を考える親の会」と江戸川WMの3つでした。
 品川区は、すでに、東京都の試行調査の一環として、認可保育所に子どもを通わせている保護者を対象に利用者調査を実施しており、その結果も、各園にフィードバックしているとのこと(東京都では他に府中市でも行なわれたようです)。例えば、調査結果から、利用者の満足度に影響が強い項目の一つとして、「毎日の保育サービスにおける、保育士の子どもに対する姿勢」があることが分かったが、これについては現状の評価も高いため、事業者(保育園)に対しさらに促進していくよう指導する。他方、「病気・ケガに対する責任を持った対応」という項目は、同じく利用者の満足度への影響が高いものの、現状の評価が低いため、事業者について改善していくよう指導する・・といった具合です。事業者の自己評価も同時に行い、利用者調査とのギャップを明らかにするなど、何より事業者のサービス改善を目標に置いた取り組みであることに感心しました。その後の経過(「改善が上手くいったのかどうか」)などについてもぜひ知りたいところです。
 「保育園を考える親の会」は、まだ評価事業には取り組みがないということで、代表の普光院亜紀さんが、保育と評価ということについての論点をいくつか提示されました。第一は、保育園は、選択をする人間とサービスを受ける人間が別、つまり、子どものためのサービス機関であるにもかかわらず保護者が選択を行うという点です。 親にとって「良い」保育園が、子どもにとっても良い保育園であるとは限らない。しかも、子どもにはサービスの悪さを訴える能力がないかもしれない。 親の無責任な選択のあおりを子どもが受けるということではたまりません。 更に、保護者が評価・選択するにしても、初めて保育園に子どもを預けるという親がほとんどなので、良い保育園を選びたくとも、何を基準にしたらよいか分からないという意見が非常に多い。(そのため「考える会」では保育園のチェックポイントを考案・公表していたりしますよね)従って、保護者が保育園を見る目を養う方策を考えるとともに、やっぱり、保育園の評価に関しては、「子どもにとって良い保育園とは?」という見地から、保育学や発達心理学の知見もふまえるなどして、評価基準が作られるべきなんじゃないか、といった意見でした。
 もう一つは、供給不足の現状では、保育園が進んで評価を受けようとするとは思えない!という点。保育行政は区市町村レベルの管轄だが、都が評価を押し進めたいと本気で考えるなら、 区市町村への指導や評価事業の進み具合のチェックを是非行って欲しいと訴えておられました。

お姐吠える!〜「江戸川村はそれどころじゃない!
 というわけで、我らが江戸川WMですが、まず評価に関する資料としては、当HPの 保育ミシュランの調査項目を提出しました。インターネットを用いた調査とその公表、また、保護者が本当に知りたい超具体的・実際的な項目となっていることが特色、とお姐が説明。
 さて、江戸川区の現状と江戸川WMの活動について簡単に説明した上で、お姐の吠えた論点は主に3つ。
 一つ目は「なんといっても数が足りな〜い!
 江戸川区の認可保育園待機児童数は、2000年4月現在23区中で22位。(但し、認可園を希望しても保育ママ・認定保育室に預けられた子どもの数は間引かれていると類推されるので実際は23位かも)また、23区で唯一ゼロ歳児保育を公立で実施していないのでゼロ歳児の定員数は極めて少なく、希望する保育園どころかどこの保育園でも入園がきわめて厳しい、極端な売り手市場(涙)。こんな受給のバランスが崩れたところで、例え評価機関できたところで保育現場が自発的に利用者に寄り添ったサービス向上を心がけるか?ったら甚だ疑問です。選択とか評価とか競争とかいっても、まったく縁のないものに聞こえるよ〜!
 二つ目は「広報活動(=社会的合意のとりつけ)の努力が足りな〜い!
 第三者評価のシステム整備が進んでいるなんて、保護者には全く認知されてませんよ!それどころか、保育園にしたって、「措置」から「利用」へ考え方が変わったことからして理解されておらず、未だに「預かってやってる」的意識を感じる園があるんですよ〜!こうした意識の低い保育現場に良い刺激を与える「第三者評価機関」。実際に設置されるのはもちろんですがプロジェクト自体が立ち上がって進んでいることを保育現場や利用者である我々保護者側に知らしめるだけでも大きな意義があるというものです。園としては「このままでいいのか?」という問題提起になるし、利用者にとっては駆け込み寺が一つ増える。どんどん広報して周知していってほしいし、そのための協力は惜しみません!
 三つ目は「一番の評価者はエンドユーザー(利用者)である!
 確かに客観的機関や人間の評価も大切だけれど、劣悪なサービスが生じている場合最も苦しめられるのは利用者です。多くの利用者はどこに苦情や相談に言っていいのか判りません。声を上げたくても勇気の出ない方がほとんどです。自治体に苦情を言える私みたいなような物騒なのは、ほんの一握りです。声なき声をあげている、この利用者達の意見をどれだけ掬い上げることができるか、この声こそが生の評価であるということに是非着目して頂きたいと思います。
 とても、会議の始まる30分前に報告をしなければならないことに気が付いて、会場で考えた報告とは思えないほど堂々とした態度で(^^;)、また体験した者のみが語れる苦労がひしひしと伝わるいいレポートでした。

公正な競争と自由な選択が本当に実現するのなら、保護者にとっても子どもたちにとっても(そして、おそらくは保育園にとっても)、きっと幸福なことであるに違いありません。でも、その前にいろんな条件整備が必要で、その辺りに関しては大いに行政の責任を感じてもらいたいものだと思いました。

 お姐コメント
 いやーまたしても吼えしてしまいました(爆)
 こうした場にくるとついつい江戸川村の窮状を訴えてしてしまうσ(^_^)。
 (田中正造か?!)
 ここでの皆の苦労を思うとついつい熱くなっちゃうんだよねぇ(理性的な物言いにこそ人は耳を傾けるっつーに!バカ。。。。>ぢぶん)
他の報告者はほとんどが官民どちらにおいても福祉の現場のスペシャリスト。
立て板に水の報告にあんぐりとクチをあけつつ、いつしかウトウト(爆)。で、ふと目が覚めて(爆爆)純然たる利用者の代表的な立場で来ているのは「保育園を考える親の会」と我らが「江戸川ワークマム」だけということに気づいたのです。これには純粋にびっくりしました!一体だれの声を聞くのじゃ? と単純に思いました。評価のための評価機関とならんよう、困った利用者を少しでも少なくするためのシステムとなるよう切に願わずにいられませんでした。そのためにできる協力はなんでもしたいなぁと思ったわけです。
 しかし次回、お呼びが来るかどうかは、今のところ不明であった。リストから淘汰されてないことを切に願う。(―人―)

 


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